医師・医療従事者の方

世話人代表ご挨拶

ドライアイ研究会 世話人代表
京都府立医科大学 病院教授
横井則彦

ドライアイは、眼表面を構成する涙液層と上皮層の間に悪循環が生じることで、眼不快感や視機能異常が引き起こされる最も多い眼表面疾患です。
ドライアイに悩む人は増え続けています。たとえば、加齢はドライアイの危険因子であるため、超高齢社会において、ドライアイは確実に増えてきていますし、眼疾患や全身疾患あるいはその治療にもドライアイを引き起こす要因が多く存在します。
また、現代人の生活にも、ドライアイを招く多くの危険因子が潜んでいます。たとえば、オフィスやプライベートにおいて、パソコン、タブレット端末、スマートフォンのモニター画面を見つめる時間がますます増えていますが、これらも危険因子です。さらに、エアコンで乾燥した生活環境、コンタクトレンズの装用もドライアイを引き起こす要因と考えられています。

ドライアイ研究会の発足当時、日本国内のドライアイ患者数を800万人と推定していましたが、現在では2000万人以上と推計されています。

2012年に行われたオフィスワーカーを対象とする大規模なドライアイの疫学調査「大阪スタディ」では、ドライアイの有病率はドライアイ確定例11.6%、疑い例54.0%、合わせると65%に及ぶと報告されました。同調査では、ドライアイの確定例ではVDT作業時間が長い傾向が認められ、ドライアイによる労働生産性の低下も指摘されました。

しかし近年、ドライアイ研究の進歩によって新しい検査法や治療法が登場し、より的確な診断と治療が行えるようになってきました。とくに、眼表面の層別診断(TFOD)および眼表面の層別治療(TFOT)の登場によって、眼表面の主な構成要素である、脂質、水分、ムチンのそれぞれに視点をおいたドライアイの診断と治療が可能となり、ドライアイのタイプに応じたより細やかなアプローチが可能になっています。

目は多くの情報の入り口、すなわち、脳のインターフェイスとして働きますが、涙には、さまざまな病原体の侵入を防ぐ、感染防御としての働きがあります。したがって、目のうるおいを保つことは、脳、ひいては全身の健康の維持につながります。

ドライアイ研究会では、今後も引き続き、医療従事者への学術集会、講習会、研究促進、情報交換の場の提供を通じて、ドライアイや涙の大切さについての情報発信に積極的に取り組み、社会に貢献していきたいと考えています。