ドライアイ(なみだ)についてもっと学ぶ

なみだは目のバリア!? ドライアイの基本知識から対策まで

なみだがあなたの目をいつも守っている

「なみだ」は、悲しいときや嬉しいときだけに流れるものではありません。実は、私たちが目を開いている間ずっと分泌され、目を守ってくれています。

例えば、風が強い日でも目がしみたり、痛くならないのは「なみだ」がしっかり働いているからです。他にもコンタクトレンズがつけられるのは、なみだがクッションの役割をしてくれているからです。そのためドライアイの症状が強いとコンタクトレンズがつけられないこともあります。

目の表面の構造ってどうなっているの?

目の表面は「角膜」「結膜」などからできており、その上になみだの膜が常に覆っています。このなみだの膜がとても重要です。

なみだは、油層と液層構造となっており、液層には水分とムチン(ねばねば成分 タンパク質)で構成されています。これらの成分がバランスよくあることで、目の表面の全体になみだがいきわたるようになっています。いくらなみだの量が充分でも、質がよくないとなみだの健康バランスが崩れてしまい、ドライアイになることがあります。

あまり知られていないなみだの役割とは

なみだは、目を保湿するだけではなく、たくさんの働きがあります。

酸素を与える
 → 血管のない角膜に酸素を届けて、健康な状態を保ちます。
目の表面に栄養を与える
 → 涙に含まれる成分が角膜に必要な栄養素を運びます。
外敵から守る
 → 抗菌成分がバイ菌やウイルスの侵入を防ぎます。
保湿
 → 目の表面をうるおし、乾燥や刺激から守ります。
ゴミや不要なものを洗い流す
 → ホコリ・花粉・老廃物を涙が洗い流してくれます。
まばたきの摩擦から守る
 → 涙が潤滑油となり、まばたきのたびに角膜を傷つけないよう守ります。
目の表面をツルツル・ピカピカにして、視力の質を上げる
 → 涙が光の屈折を整え、くっきりと物が見えるようにしてくれます。

なみだと視力の関係

なみだと視力には密接な関係があります。目が乾燥していると、正しく物を見ることができません。

なみだが視力に与える影響

・涙が均一に広がっていないと視界がかすむ
・乾燥で角膜が不安定になり、視力が変動する
・ドライアイが進行すると、ピントが合いにくくなる

こんな症状に心当たりはありませんか?

・パソコン作業をしていると、目がぼやけて何度も瞬きをしてしまう。
・朝はよく見えるのに、夕方になると視力が落ちたように感じる。

それの症状は、ドライアイが原因かもしれません。

なみだの不調は目の不調

なみだの量や質が乱れると、目にさまざまな不調があらわれます。これが「ドライアイ」の初期症状であることもあります。

なみだの不調はドライアイ、その原因とは?

ドライアイは、「なみだの不足」または「なみだの質の低下」によって起こります。現代人の生活習慣が大きな原因となっています。以下のような

空気の乾燥:涙が蒸発しやすくなり、目が乾きやすくなる。
エアコン・ファンヒーター:風が目に当たって涙が奪われる。
加齢:涙の分泌量が自然に減少する。
緊張やストレス: 自律神経の乱れで涙の分泌が低下する。
アイメイクや目もとの汚れ:涙や油分の通り道がふさがれる。
免疫の病気や薬の副作用:涙を作る分泌腺がダメージを受けたりすることがある。
パソコンやゲーム、スマートフォンの長時間の使用: 瞬きの回数が減って涙が蒸発しやすくなる。
瞬きの回数が減る:涙が目全体に行き渡らなくなり乾燥を招く。
コンタクトレンズの使用:レンズが涙を吸収したり、蒸発を促したりする。
夜ふかし: 目の回復時間が減り、涙の分泌リズムが乱れる。
運動不足、メタボな生活: 血流が悪くなり、涙を作る分泌腺の働きが低下する。

なみだをパワーアップさせて、ドライアイのセルフケア

ドライアイは日々のちょっとした習慣で予防することができます。適切な治療とともに、なみだの力を引き出すセルフケアを試してみましょう。

眼科で行うドライアイの治療(なみだの治療)

ドライアイは病気です。適切な診断を受けて正しい対応をとることが必要です。眼科では、目の表面に傷があるかないかなどの正しい診断ができるとともに、市販の点眼薬(OTC薬)にはない、なみだの量を増やす点眼薬や目の表面のバリアを強くする点眼薬などを処方することもできます。

辛い症状が続く場合は、お近くの眼科を受診しましょう。


コンテンツ監修
内野裕一 (慶應義塾大学医学部 眼科学教室 特任講師)