医師・医療従事者の方

用法通りに点眼できているドライアイ患者さんは、「1割」でした。

用法通りに点眼できているドライアイ患者さんは、「1割」でした。

~はじめに~

 ドライアイは慢性疾患で症状の有無に関わらず継続的に治療することが必要ですが、現在、日本では点眼回数が4~6回と他の眼疾患と比べて点眼回数が多い点眼薬しかなく、用法通りに点眼することが難しいことが想定されていました。そこで、1か月以上の間、ドライアイ点眼薬を用いて治療しているドライアイ患者さん2645名を対象にドライアイ治療点眼薬の使用実態と治療効果への影響を検討するためにWeb調査を実施しました。


調査方法

対象 眼科にてドライアイと診断され、ドライアイ治療薬を単剤で処方された患者で、
選択基準をすべて満たし、かつ、除外基準のいずれにも該当しない場合を対象とする
選択基準 ■年齢:同意取得時に20歳以上
■ドライアイと診断され、ドライアイ治療薬(以下3つの内ののいずれか単剤)を処方された者
 ①ジクアホソルナトリウム(DQS)点眼液
 ②精製ヒアルロン酸ナトリウム(HA)点眼液
 ③レバミピド(RBM)懸濁点眼液
■試験組み入れ時に処方されたドライアイ治療薬を1ヵ月以上点眼している者
試験デザイン Webアンケート調査
予定研究対象者数 3,000例(DQS、HA、RBM、それぞれ1,000例)
方法 研究対象者に対して、楽天インサイトを通してWeb上でアンケートを実施
評価項目 -ドライアイ治療薬の点眼の行動内容及びその理由
-ドライアイ治療薬の点眼遵守状況が自覚症状の推移に与える影響
アンケート実施時期 2020年12月

~調査結果~

用法通りの回数を点眼できている患者さんは10.2%でした。
また、用法通りの点眼回数を医師または薬剤師から指示されていた患者さんは18.3%でした。

用法通りに点眼できていないドライアイ患者さんの主な理由は、「症状があるときに点眼している」、「外出時に点眼薬を持ち歩くのを忘れた、もしくは面倒だから」でした。

症状の有無に関わらず、用法を守って点眼するほうが自覚症状の改善が有意に改善することがわかりました。

~まとめ~

 今回の調査から、大多数のドライアイ患者が用法通りに点眼できておらず、医師や薬剤師も現状のドライアイ点眼治療薬では用法通りに処方することが困難であるという実態がわかりました。一方、用法を守って治療を継続している患者さんは治療効果が高いことから、医師や薬剤師が適切な点眼回数を指示することおよび、患者さんは、症状の有無にかかわらず用法通りに点眼することが重要であることがわかりました。


 ドライアイ患者さんの満足度をより高めるためにも適切な点眼指導を行うことが必要です。また、指示された適正な点眼を継続して行うためには日本のドライアイ治療のためにもより点眼回数の少ないドライアイ治療点眼薬が望まれます。


出典:Miki Uchino, Norihiko Yokoi, Jun Shimazaki, Yuichi Hori, Kazuo Tsubota and on behalf of the Japan Dry Eye Society, J Clin Med. 2022 Jan 12;11(2):367


論文リンク先: JCM | Free Full-Text | Adherence to Eye Drops Usage in Dry Eye Patients and Reasons for Non-Compliance: A Web-Based Survey (mdpi.com)